PISA型読解力とNIE①

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 現在、OECDのPISA調査で測定されている「PISA型読解力」を向上させるためにNIEがどう役立つかを研究しております。子どもたちが、新聞を活用して情報を正確に取り出したり、情報を解釈したり、得た情報を自分の生活や経験と照らして考えをもったりする活動により、「PISA型読解力」が向上するのではないかと考えています。

 様々な研修会等で、NIEについて提案すると、「新聞ではなく他のメディアではだめなのですか?」「そもそも新聞記事は正確なものなのですか?」と、いつの間にか新聞の有用性と、すり替わってしまうことがありました。そこで、新聞を活用することが子どもたちの学力向上につながるということを示してみたいと考えました。もちろん、学力の向上を図りながら、新聞を使うことならではの「社会への意識が深まること」などもねらいとしています。これから、この実践についてレポートをしていきたいと思います。

 今回はPISA型読解力とNIEについて私なりにまとめてみました。それを示したいと思います。

 

1.PISA型読解力とは

 OECDが実施するPISA学習到達度調査では知識・技能を実生活に活用する力を測定しています。このPISA調査の大本はOECDの「キー・コンピテンシー(鍵となる能力)」にあります。「キー・コンピテンシー」はOECDが組織する「能力の選択と会議(DeSeCo)」で「個人の成功と社会の持続的発展に貢献できる価値ある能力とは何か」について定義したものです。「キー・コンピテンシー」は以下のとおりです。

①相互作用的に道具を用いる

②異質な集団で交流する

③自律的に活動する

 (中央教育審議会初等中等教育分科会(第46回)・教育課程部会(第3期第38回)、(平成19年1月26日))

 この「キー・コンピテンシー」のなかの、①相互作用的に道具を用いる能力のAにあたる言語や、シンボル、テキストを相互作用的に用いる能力に読解力が含まれます。そして、PISA型読解力を「読解力とは、自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参画するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考し、これに取り組む能力」と定義づけています。

 

2.NIEと読解力

 様々なテキストや図・グラフが載っている新聞を活用することは、児童生徒の読解力に好影響を与えるといわれています。2000年のPISA調査によると、新聞に親しんでいる頻度が高いほど読解力が高いという結果が出ています。日本の場合は、新聞を「週に数回読む」子どもの読解力の得点が534点で最も高く、頻度が下がると得点も下がり、「まったくか、ほとんど」新聞を読んでいない子どもは489点でした。PISA調査に参加する他の国の状況を見ても、新聞の閲覧頻度が高いほど読解力の得点も高い結果となっています。この結果から、NIEにより新聞を活用することで、PISA型読解力を高めていくことができると考えられます。

 

3.PISA型読解力を高めるための新聞スクラップ

 測定方法として、オリジナルのPISA型読解力測定用の新聞スクラップシートを作成しました。シートには、PISA型読解力の要素である「情報の取り出し」「解釈・統合」「熟考・評価」そして「取り組む能力」を具体的な形で測定できるようにしました。

 

・「情報の取り出し」の力を高めるため

 スクラップした記事や写真からキーワードを抜き出す・タイトルをつける(全学年)・「情報の解釈・統合」の力を高めるため 記事の要約をする(高学年)、どんなことが書いてあるか簡単に書く(低・中学年)

・「熟考・評価」の力を高めるため

 記事についての感想や考えを書く(全学年)、記事の書き方(構成)について考えを書く(高学年)

・「取り組む」意欲を高め、「読解力」を螺旋的に高めるため

 自分で主体的にスクラップする記事を選び(全学年)、スクラップした記事を基に、紹介・説明・解説し、次に集めたい記事を明確にする。(全学年)

 

 次回から、この取り組みについて具体的にお知らせしたいと思います。

菊池健一(さいたま市立東宮下小学校教諭/NIEアドバイザー)(9月13日)