新聞を使った「復興授業」第2弾 岩手・一本木小

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一本松を接ぎ木した様子を語る田之畑忠年さん

2012年度の実践指定校で、岩手県内陸部にある滝沢村立一本木小学校(阿部幸子校長、児童154人)は9月4日、東日本大震災への理解を深めようと、全国的な関心事になった岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」について学んだ。衰弱した松の〝命〟を後世に継ぐため、接ぎ木に成功した専門家を学校に招き、具体的な手法や取り組んだときの思いなどを聞いた。同校は7月に大震災の取材記者を招いた授業もしており、NIE(教育に新聞を)の趣旨に沿ったスタイルで「復興教育」を深める第2弾になった。
5、6年生の総合学習の時間で、同校に3月まで勤務した田村勝さん(現・宮古市立亀岳小学校副校長、NIEアドバイザー)が授業を特別担当した。田村さんは、昨年から今年にかけて何度も掲載された一本松にまつわる記事を使って、陸前高田市の一帯に約7万本あった松のうち、たった1本しか残らなかったこと、一本松が復興や地元民の希望の象徴になったことを説明。その一本松も海水の影響で次第に弱り、学校と同じ滝沢村にある国の関連機関・材木育種センター東北育種場が中心になって、松の保存や遺伝子を残す取り組みをした経緯などに触れた。
ゲストに招かれた育種場の田之畑忠年場長らは、大勢の観光客が訪れ、三陸海岸を代表する景勝地になっていた高田松原は大事な場所だったとして、「いつか松を戻してあげて、少しでも復興に貢献したい」と思いを語った。最初は一本松への海水の影響を食い止めようと試みたがうまくいかず、接ぎ木という手法で新しい芽を育てたことや、「5、6年後には植樹ができるだろう」と見通しも述べた。
児童たちは「津波の被害を受けた地元を支援しようと、いろんな方法があることが分かった」と感心しきりだった。「私も育種場の人たちのような世の中のためになる仕事がしたい」「きっと歴史に残る松になるだろう」などの感想が出た。

岩手県NIE協議会事務局長 工藤哲(9月5日)