地方紙から見える日本の今、世界の動き

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庄原市で開かれたバイオマスフォーラム
(中国新聞社提供)

広島県北部に庄原市という小さな都市があります。人口わずか42,000人、でも面積は東京23区の倍もあり、大半は山林で、過疎と高齢化が進んでいます。この町がいま、力を入れているのがバイオマスを生かした地域づくりです。

バイオマスというのは生物資源のこと。具体的には、草や木などを燃料などの資源として活用することを言います。植物は一度燃やしても、また育てることができるので、二酸化炭素の排出を抑えることができる、地球に優しいエネルギーだというわけです。

庄原の町がバイオマスの活用に取り組み始めたのは2002年のこと。初めは地元の若者や大学の教官らが始めた小さな活動でしたが、次第に輪が広がり、NPO法人もできて、行政と協力し、地元の木材を燃料に加工したり、石油ストーブと同じように燃やせるストーブを開発したり――という活動に発展、庄原市は「バイオマスタウン」を名乗るようになりました。

地元の地方紙、中国新聞で「バイオマス 庄原市」をキーワードに検索すると、2002年から5年間に81本もの記事がヒットします。これを見れば、庄原でどんな風にしてバイオマスをめぐる活動が始まり、展開し、抱える課題は何かが、つぶさにわかるというわけです。それを手がかりにバイオマスについてさらに学べば、地球環境の問題や農林業の問題など、もっと深く広い学習ができるでしょう。

地方紙の最大の特色は、当然、その地域に関する細かい情報が載っていることです。だけど、地域に限られた問題について書いてあるだけではありません。地域で起きていることは、日本全体の政治や経済の動き、さらに世界がいま直面している問題と直接につながっているのです。むしろ、自分が住んでいる地域で起きていることだからこそ、日本全体や世界の動きをより具体的な形で実感できる、と言えるかも知れません。

木くずを加工した物を燃料にしたストーブ
(中国新聞社提供)

地方紙を読むなら、まずは自分が住んでいる自治体についての記事にポイントを絞り、それを継続して読んでみてはどうでしょうか。そこには大手紙が触れていないような、小さな町村の情報もていねいに収録されています。行政の施策、予算はどんな内容になっているか、議会での議論、企業や住民の動き―。

記事の中には子どもたちがよく知っている人も登場するかもしれません。そして、その記事を題材に、地域が抱えている問題は何か、地元の人たちが望んでいることは何か、を読み解くことができるはずです。

さらに、問題の背景や原因を考えれば、日本や世界全体の「いま」がわかり、私たちが日常の中でどう行動するべきかが見えてくるのではないでしょうか。まさに「Think Global,Act Local」(地球規模で考え、地域で行動する)という言葉にふさわしい学習ができる教材として、地方紙を活用できると考えます。