実践指定校実践例 2012年度

自分の進路や生き方を考えさせる小論文指導

岩手県立高田高等学校(いわてけんりつ たかた こうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 総合学習
学年 高校(高等専門学校を含む) 3年
自分の進路希望に合わせて関連する新聞記事を読み、小論文を書く。
現代社会の問題点を把握し、新聞記事を読むことによって知識を広め、自分の意見をまとめられるようにする。
できるだけ多くの新聞記事を読む。
新聞活用学習

1時間目 各自が学びたい学習テーマを設定する。(例・医療事故の原因と対策)
2時間目 学習テーマの関連した記事を集めて持って来る。同じグループの中で交換し、読み合う。
3時間目 現代社会の現状を把握し、800字の小論文を書き上げる。
4時間目 同じグループの中で小論文を交換して読み合い、評価し合う。
5時間目 担当教員が模範となる小論文を選び出し、発表する。

第5時

(1)生徒の進路希望に合わせ、人文・教育コース(人文・教育・語学等)、社会コース(経済・行政・総合政策等)、福祉コース(介護福祉・生涯体育等)、医療コース(看護・理学療法・栄養等)、自然科学コース(工学・農学・理学情報等)、就職公務員教養コース(就職公務員志望者)の6コースを用意し、教員2名で1コースを指導するかたちをとった。画期的だったのは、普段のクラスにこだわることなく、コースごとに生徒を分けてグループ分けしたことであった。(2)生徒が自分の進路希望に合わせて学習テーマを設定し、小論文を意識して次の時間までに新聞記事を持ち寄る。(複数の新聞記事)(3)持って来た新聞記事をお互いに交換して読み合う。教員からも記事を提供する。さらに、新聞記事の扱い方や注意事項などの指導を受ける。(4)新聞記事を材料(ネタ)として、800字の小論文を書き上げる。(賛成・反対の意見や立場を吟味し、自分の意見を確立させる。)(5)お互いに書き上げた小論文を交換して読み、評価し合う。わかりにくいところとわかりやすいところを中心に話し合う。(6)教員が模範となる小論文を生徒の中から選び出し、発表する。すぐれている点を説明する。

生徒たちは思うように新聞記事が手に入らず、苦労した面があった。教員側でもいろいろな記事を用意する必要があった。

各自が自分の進路に合わせた新聞記事を読んで集めるところからスタートしたので、自然と新聞を丁寧にじっくり読む習慣がついた。NIE実践校として7紙の新聞を提供してもらっていたので、さまざまな新聞を読み、比較することができた。小論文対策として、新聞を読むことの大切さを実感できた。

これは小論文指導の一環として、2012年の5月7日・28日・6月4日・11日・18日の5回で1セットの計画のもと、「総合学習」の時間を利用して実施したものである。学年全体で3年生全員を対象として取り組めたことは大きな効果があり、それぞれのコースで内容の濃い授業が展開できた。(成果)普段のクラスの枠を取り払ったグループ学習の形態となり、生徒たちには新鮮で大きな刺激となった。お互いに小論文を交換して読み合うことも勉強になった。新聞記事はタイムリーで読みやすくてよかった。(課題)次へのステップとしてさらに2セット目が実施できればよかった。ただ、学年全体で一斉に実施するには、事前に十分な打ち合わせが必要となる。

実践者名:岩手県立高田高等学校 志田 節子