実践指定校実践例 2012年度

消費税増税に賛成か、反対か?

八幡浜市立保内中学校(やわたはましりつほないちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 公民
学年 中学 3年
持続可能な社会をめざして
学習課題について、調査活動で学習したことや級友の意見を基に、より深く考え、多面的・多角的に判断し、表現することができる。
一連の活動の中に、新聞記事の情報収集・選択・吟味・発表の機会を取り入れ、特に発表の場面では必ず新聞記事を一つ用いるようにした。
新聞活用学習

(1) 社会的事象との出会い・学習問題の設定・探求計画の作成(1時間) 
(2) 課題の探究…資料収集、資料の読み取り、考察(2時間) 
(3) 発表会の準備(1時間)
(4) 発表会(2時間)…各班の発表を聞き、あらためて学習課題に迫る。
(5) まとめ(時間)…調査や話合いを通して、自分の考えをまとめる。

第6時

(1) 本時の学習の流れと前時の学習の確認をする。
   ・  前時の班の発表内容を再確認する。
     公共事業、外交・ 防衛、地方交付税交付金、教育・科学、外国との比較) 
(2) 残り4つの班の発表を行う。
   ・  社会保障、国債、私たちの生活、景気を担当した班が発表する。
   ・  発表の際には必ず新聞記事を一つは使って説明する。
(3) 学習課題について考えを深める。(個人→班→全体)
   ・  「消費税増税に賛成か、反対か?」について、他の意見を取り入れて、根拠を基に考え、判断する。
   ・  まずは班の中で意見交換し、その意見も取り入れた上で、賛成、反対の立場をはっきりさせ、全体の場で自分の考えを述べる。
(4) 本時のまとめを行い、授業の感想を書く。

学習課題に迫り,考えを深めるために、新聞記事を活用したり、級友の意見を参考にして自分の考えをまとめたりして、根拠を明確にして自分の考えを表現させるような学習を展開した。また、調査活動や発表会を通して、多面的・多角的な考察へと学習を深めようと考えた。今回の学習課題を追求することは、持続可能な社会の実現を目指す主権者として、社会に参画する態度を育成する上でも効果的であると考えた。

まず、生徒が楽しそうに新聞記事を収集したり考察したりしている姿が印象的だった。新聞記事を読み取る作業は難しくもあったが、生徒の感想にはもっと知りたい、もっと調べたいという意見がたくさんあった。自分の言葉で表現するねらいにも迫れている生徒が多かったように思う。生徒の発表も活発で、日頃の学級経営の成果であるとともに、生徒にねらいを意識させた効果がでていた授業であったと思う。
 

公民的分野だけでなく、3年間の社会科の学習成果が出てくるような授業を目指して取り組んだが、そのねらいに近づけるような授業ができたと思う。学習課題をシンプルに「賛成か、反対か」としたため、生徒も考えやすかったように思う。新聞記事を中心にさまざまな資料を収集・選択・考察等を行ったため、生徒の関心も高くなり、また、各班単位で探求テーマを決めたため、深みのある考えを引き出すことができたように思う。一方で、いわゆる「公民的資質」を身に付けることができたかどうかという大きなねらいもあり、そのテーマに迫るためには時期的にどうしても遅くなりがちになる。3年生という進路選択決定の時期とも重なるため、その実施時期についてはさらに吟味が必要である。しかし、それを考慮した上でも、意義のある授業になったと思う。 

実践者名:八幡浜市立保内中学校 井上 武彦