実践指定校実践例 2012年度

新聞記事を活用し、問題意識の醸成を促す社会科授業

新潟市立鳥屋野中学校(にいがたしりつ とやの ちゅうがっこう)

教科、科目、領域

中学校: 地理
学年 中学 2年
日本の諸地域~中国・四国地方~
中国・四国地方に人口の偏りが生じる理由を、若者と高齢者の立場の違いに着目しながら検討することを通して、人口分布に影響を与える社会的要因を説明することができる。
「限界集落」というインパクトのある語句が見出しにあり、中国・四国地方の「限界集落」数が増えていることがわかる記事を導入で使い、問題意識を高める。
新聞活用学習

(1)中国・四国地方に人口分布の偏りが見られる理由を、若者と高齢者の違いに着目しながら調査し、説明する。(1時間)
(2)限界集落が多く存在する過疎地域の人々の暮らしに見られる工夫を調べる。(1時間)
(3)人口密集地域における人々の暮らしの工夫を調べる。(1時間)
(4)中国・四国地方での学習内容をレポートにまとめる。(2時間)

第1時

(1)見出しが隠された新聞記事をみて、見出しに入る言葉(限界集落)を、記事文の中から見つける。
(2)「限界集落」とはどのような集落かを、記事文から読み取る。
(3)記事内の図表に注目し、中国・四国地方の限界集落数(数を隠して提示)を、他の地域の数を参考にして予測する。
(4)中国・四国地方に限界集落が多くなる要因として、多くの若者が集落を出て、高齢者だけが集落に居残る傾向にあることを資料から読み取る。
(5)若者が集落を出て行く理由と、高齢者が居残る理由を班で話し合って予測する。
(6)班でまとめた考えを、根拠とともに学級全体へ発表する。
(7)自分たちの考えが正しいかどうかを確認するために、限界集落の人々が答えたアンケート結果をみる。
(8)中国・四国地方に限界集落が多い理由を、自分の言葉でまとめ、記述する。

(1)新聞記事を提示するときは大型スクリーンにプロジェクターで映し、見せたいところを拡大したり、色で囲んだりする。
(2)見出しの中の「限界集落」や図表の数値など、注目して欲しい場所を隠すなどして、生徒の集中を高める。

(1)「限界集落」とは何かという疑問をもち、全員が記事文を自ら進んで読んだ。
(2)中国・四国地方の「限界集落」が他の地域よりも多いことを記事中の図表から読み取り、その原因を進んで調べた。

(1)成果
 学習内容が現実の社会と関わっていることを実感させることができた。そのため、学習課題に対する問題意識が自然と醸成され、調査したり、発表したりすることに進んで取り組む生徒が多く見られた。
 また、新聞記事は社会的事象を文章や図、グラフを使ってわかりやすく説明しているため、生徒にとってわかりやすい資料となり、図やグラフと関連させながら自分の考えをまとめることができた。

(2)課題
 新聞記事をさらに効果的に活用するために、新聞記事の加工方法や提示方法についての工夫が必要であることがわかった。また、記事の中には学習内容と直接関係のない内容も含まれていることが多く、どのように扱うかを事前によく吟味する必要があることもわかった。

実践者名:新潟市立鳥屋野中学校 川本慎一