第7回いっしょに読もう!新聞コンクール
最優秀賞(小学生部門)・須藤貴海さんと出会った記者の思い

くり返し、一から伝える意義

表彰式で対談する須藤くんと筆者

 授賞式で会った須藤くんは4年生とは思えないほどはきはきとした受け答えをするまっすぐな男の子だった。当コンクールには前回も入賞したそうだ。

 5年以上前の大震災の記憶について尋ねると「はっきりとは覚えていない」という。今の小学生、特に低学年にとって東日本大震災は、体験したというより、聞いて知ったできごとだ。だからこそ小学生新聞では、周知の事実ととらえず、くり返し、一から伝えていこうと思った。

 須藤くんの受賞を佐藤さんに伝えたところ、とても喜んでいただいた。そして「機会があれば大川小を訪れてほしい。案内をするので」とメッセージをあずかった。須藤くんに伝えると、ぜひ訪れたいと目を輝かせた。

 佐藤さんは言う。「書く人がいて、読む人がいて、それをまた伝える人がいて……そんなふうにつながっていけばいい」。小学生新聞の読者はふつう、長くても6年間で購読をやめる。限られた時間だからこそ、日々の紙面でひとつでも多くの出会いを提供し、須藤くんのように行動する背中を後押しできたらと思う。

 今年は創刊50周年。この節目の年に、今までにない規模で、子どもたちに「体験」の機会を届けようと思っている。

筆者

今井 尚(いまい・しょう)
朝日小学生新聞 記者

「新聞研究」2017年2月号掲載
※肩書は執筆当時