“先生”体験から考える

「やばい」新聞作りを目指して

 現場の記者らの奮闘の成果が、大切な未来の担い手である子どもたちに十分受け入れられていない現状は歯がゆい。印刷見学で見せるような興味津々の表情で朝刊をめくる小学生をもっと増やしていけないものか。そのためには、綿密な取材に基づく報道の本分は守りつつ、原稿の仕立て方や紙面デザイン、面建てなどさまざまな従来スタイルの再検討が欠かせないだろう。もっとも、こども新聞のような朝刊にするということではない。だが、これ以上の新聞離れを食い止めるには、スマホが当たり前にある時代に生きる子どもたちにも愛着のわく新しい朝刊のあり方が求められていることは間違いない。

 今のところ妙案は持ち合わせないが、できることは必ずあるはずだ。小学5年の私の長男もしょっちゅう口にする「やばい(すごい)」の言い回しを借りれば、「やば! この記事、この記者!」と連発されるような新聞をつくり、生活に欠かせないものとしてもっと親しんでもらえるような未来を切り開くべく模索を続けたい。

筆者・プロフィール

田島 慶太(たじま・けいた)
新潟日報社 読者局ふれあい事業部未来読者グループ主任

「新聞研究」2017年1月号掲載
※肩書は執筆当時