“先生”体験から考える

若者の人生にコミットする―「記者と駆けるインターン」の意図

 東日本大震災が起きた翌年の2012年夏から、大学生・院生に被災地で取材と記事執筆を体験してもらう「記者と駆けるインターン」と名付けた事業を続けている。1期は約2週間。16年夏まで14期を重ね、「河北育ち」は267人になった。自社の採用活動とは一線を画して、参加無料の記者体験の場を開き続ける狙いは何か。試みの意図を紹介したい。

 記者インターンは学生が参加しやすい夏や冬、春の長期休み中心に行う。期間中、学生は日曜日を除き、河北新報社に通う。定時は午前10時~午後6時。原稿締め切り間際は、退社が深夜に及ぶ。

 これまでの参加者は男女ほぼ同数。うち地元大学は半数程度で、北は青森から南は広島まで全国から集う。仙台・宮城と縁もゆかりもない学生はゲストハウスなどに寝泊まりして参加する。もちろん仙台までの交通費も宿泊費も自腹だ。

 告知はネットを活用している。専用ブログに募集案内を載せ、フェイスブックなどで拡散。それを過去の参加者が「絶対成長できる!」「熱い大人、一生の仲間と出会えるよ」などとコメントを添えてシェアしてくれる。結果として労せずして、ほぼ毎回定員を確保している。

 取り組みでは被災地の実相に少しでも触れてもらうことを重視し、近年は「被災地の中小企業」を取材テーマとしてきた。震災の風化が叫ばれる中、被災地に関わる若者を増やすことが長い目で復興の力になると考えるからだ。

次のページ >> 新聞離れ世代への確かな訴求に