“先生”体験から考える

柔らかな感受性に触れる ―教室も新聞人の大切な「現場」

教室という現場で

大田区立大森第六中学校での出前授業の様子

 18歳と19歳の投票が初めて実現した参院選を控えた授業で、奨学金制度の記事を使って要約やディスカッションを試みた。学生に身近な問題だけに「有利子の貸与型奨学金は自分たちの借金だ。返済できないリスクを背負ってしまう」「奨学金が生活費に使われている面もある」「給付型の奨学金にしてほしい」など活発に意見が交わされ、20歳未満の学生から「奨学金に対する候補者や政党の公約をチェックして投票に行く」との声が上がったのだった。

 記者は「現場が命」とよく言われる。若い読者と向き合う教室も、新聞に携わる者にとって大切な「現場」だと考えていきたい。

筆者・プロフィール

城島 徹(じょうじま・とおる)
毎日新聞社 「教育と新聞」推進本部委員 兼東京本社編集編成局編集委員

「新聞研究」2016年9月号掲載
※肩書は執筆当時