“先生”体験から考える

子供たちが新聞と出合うために必要なこと

 新聞に出合うきっかけはたくさんある。記事でも、社説でも、コラムでも、4コマ漫画でも、新聞づくりや出前授業でも何でもいい。それらを通して、社会の動きに興味を持ち、新しい世界や言葉を知る。あるいは今までと違う文章を書いてみる。そんな新聞との出合いの橋渡しができればと思う。

 翻って、子どもたちが新聞と出合うために、新聞に求められるものは何だろう。伝えるべきことを伝えているか、文章は分かりやすいか、表現には配慮しているか、多面的に取材しているか─。そんな視点で読んでみると、5W1Hがそろっていなかったり、難解な専門用語が多かったりと、足りないこと、必要なことが見えてくる。

 「新聞教育」は、戦後間もない時代から熱心な先生方が取り組んでこられた長い歴史がある。一方、日本でNIEが提唱されたのは1980年代と新しい。NIEも広義の新聞教育だが、新聞社と学校の連携・協力が不可欠で、まだまだ広げる余地があると痛感する。

 最近、講座で訪れた高校の先生に「新聞社に授業を頼むなんてハードルが高いと思っていた」と言われた。新聞が教育に必要だ、役に立つと感じてもらえる今がチャンスだ。教育現場との連携は、こちらから仕掛けなければ広がらない。子どもたちの未来を考える延長線上に、新聞の未来もあると私は信じている。

筆者・プロフィール

大植 美香(おおうえ・みか)
愛媛新聞社 地域読者局読者部長
「もっと!新聞」キャンペーン事務局

「新聞研究」2017年7月号掲載
※肩書は執筆当時