めざせ!新聞博士

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新聞について詳(くわ)しくなったら、家族や友達にも教えてあげよう。

Q 1 新聞紙の上下がギザギザで、下にいくつかの穴があるのはなぜ? 新聞紙の大きさはどのようにして決まったの?

新聞はトイレットペーパーのお化けみたいな巻き取り紙に印刷された後、ページをそろえて折りたたまれ、回転カッターで切断されます。
カッターの回転も高速のためまっすぐな刃(は)ではなく、のこぎりみたいな刃が使われます。このため、切った跡がギザギザになっているのです。
穴があいているのは、新聞を1部ずつ切ったり折ったりするため、針金状の金具を差し込んで引っ張った跡で針穴と言います。
現在の新聞1ページの大きさは、縦が54.6センチ、横が40.6センチで、日本で最初に使われた輪転機に合わせた大きさが、そのまま残っているのです。

Q 2 天気予報はどのようにして新聞に載(の)るの?

新聞社によって扱(あつか)い方は違いますが、多くは1面に日本上空の画像と天気図を載せています。
日本上空の画像は、気象庁の衛星「ひまわり」が撮影(さつえい)したものです。1時間ごとに通信社が受信し、新聞社に送ります。気圧の状況を示す天気図も、簡単な天気予報の文章とともに、気象協会から通信社を通じて新聞社に送られます。
天気予報は、仕事をする人だけでなく、釣りなどのレジャーや旅行をする人にとっても大切な情報です。
このため、地域を細かく区切って、時間帯ごとに「晴れ」「くもり」「雨」をわかりやすくイラストで表示するほか、雨や雪が降る確率を数字で示すなど、各新聞社とも工夫を凝(こ)らして天気予報を伝えています。

Q 3 「死亡記事」はどのような基準で掲載(けいさい)されるの?

死亡記事は、有名人や話題の人、社会的に活躍した人などが亡くなったときに掲載されます。多くは家族や会社が新聞社に知らせてきます。
対象となるのは、芸能人、スポーツ選手、文化人、学者、経済人、政治家、それにこうした有名人のお母さん、お父さんなどの親族です。
死亡記事にはふつう、氏名、肩書、死亡日時、死因、年齢、出身地、自宅住所、葬儀(そうぎ)・告別式の日取りなどを入れますが、有名人や話題の人などの場合は、その人のこれまでの活躍やエピソードが写真とともに掲載されます。
また、告別式の様子が記事としてとりあげられることもあります。

Q 4 新聞に4コママンガが載っているのはなぜ?

4コママンガは、気をつけてみると、事件や事故などのニュースが載る面に入っています。この面を社会面といいます。
社会面は人が殺されたとか、交通事故で何人も死んだとか、暗い話題が多くなりがちです。
これでは、新聞を読む人の気持ちも暗く沈(しず)んでしまいますね。そんなとき、4コママンガがあれば、ホッと救われたような気分になるでしょう。
4コママンガは、暗いニュースを伝える社会面の中でビタミン剤(ざい)の役割を果たしているのです。新聞に初めて載ったのは、1923年10月から掲載(けいさい)された「正チャンの冒険(ぼうけん)」だといわれています。

Q 5 どうして日本の新聞は、その日のラジオ・テレビ番組を載せることができるの?

ラジオ・テレビ欄(ラ・テ欄)は、読む人が多い面のひとつです。ラジオ・テレビの番組を扱う専門の会社があり、新聞各社はその会社から事前に番組表を送ってもらいます。
大きな出来事があると、ニュース番組が増えるなど、急に番組が変わることもあります。そのときは、専門会社からだけでなく、テレビ局から直接、新聞各社に番組変更の連絡が入ります。

Q 6 記事の大きさは、誰がどのように決めるの?

新聞社には毎日、世界中からさまざまなニュースが集まります。編集局では、締め切り時間までに集まってくるニュースを見ながら、どの面にどの大きさで載せるかを話し合い、1面のトップをはじめ、各ニュースの扱いを決めます。
新聞社によって重要だと考える記事は異なるので、各社の1面を比べてみても、ニュース自体が異なったり、記事の大きさや並び方が違ったりします。複数の新聞を読み比べると、社会の出来事に対してさまざまな見方、考え方があることが分かります。

Q 7 新聞をつくるとき、載せる記事が足りなくなることはあるの?

新聞社では記者が毎日、取材をして記事を書いています。このほか、通信社や海外特派員から、たくさんの記事や写真が送られてきます。
こうして新聞社には、1日あたり250ページの文庫本5冊分の情報が送られてきます。多くの新聞は1行12字ですから、6万行にもなります。新聞に載るのは、そのうちの1万5千行あまり四分の一に過ぎません。
だから、記事が足りないということはありません。それどころか、スペースが限られているので、どの記事をどのくらいの大きさで載せるか、いつも頭を悩(なや)ませているのです。

Q 8 新聞社はどのようにしてニュースを集めるの?

新聞社の編集局は取材相手によって政治、経済、社会、文化(学芸)などの各部に分かれています。例えば政治部の記者は国会で政治家に会って、また、社会部の記者は火事などの現場に行って記事にします。
記者は、官庁や警察で発表される情報などをもとに取材するほか、自分の担当する分野、例えば文化部記者なら作家や画家などにインタビューして原稿をまとめます。
このほか、共同、時事などの国内の通信社、外国の通信社からも刻々とニュースが入ってきます。また、海外に駐在(ちゅうざい)する特派員からも記事が送られてきます。

Q 9 「特派員」はどんな仕事をしているの?

大きな新聞社や通信社は国内だけでなく、海外にも記者を派遣しています。このように、海外に駐在して取材し、記事を送る記者のことを特派員といいます。多いところでは、40以上の拠点(きょてん)に、延べ80人以上の特派員を配置する社もあります。1人で複数の拠点をカバーする人もいます。
特派員は、英語はもちろん、その国の言葉ができることが求められます。現地で直接現場に行ったり記者会見に出たりして取材をするからです。

Q10 「写真記者」はどのような仕事をしているの?

写真記者の仕事は、政治、経済から事件や事故、スポーツなど、あらゆる分野のニュースを昼夜カメラで追い続けることです。
記者会見や事件・自然災害の取材などでは通常100~200枚程度、野球などスポーツの取材では1,000枚以上、試合展開によっては2,000枚前後撮影することもあります。
フィルム時代の撮影枚数はフィルム1個につき最大36枚でしたが、デジタルカメラの登場によって一度に撮影可能な写真の枚数が飛躍的に増加し、写真記者の取材スタイルは劇的に変化しました。
デジタル時代の写真記者には、これまでの「どう撮るか?」に加え、撮影した膨大な写真の中から「どの写真を選ぶか?」も問われるようになっています。

Q11 間違った記事を載せたときは、どうするの?

新聞社や通信社では、1本の原稿をデスクといわれるベテラン記者だけでなく整理部、校閲部など何人もの記者が目を通し、チェックしています。
それでも間違った記事が載ってしまうことがあります。間違いは、数字や人名地名などが多く、原稿をパソコンで書くようになってからは、「家庭」を「仮定」というような同音異義語のミスも増えています。
そんな場合、訂正(ていせい)記事を出し、読者にその記事に誤りがあったことを知らせています。
また、ミスのほとんどは不注意によるものですが、どうしてミスが起きたかをよく調べて誤りを繰り返さないようにしています。

Q12 通信社と新聞社はどう違うの?

日本には共同通信社と時事通信社のふたつの代表的な通信社があります。通信社の役割は、取材したニュースをさまざまな媒体に送ることです。
新聞社のように紙面は持ちませんが、新聞社や放送局、オンラインメディアや外国の新聞・通信社に昼夜を問わずニュースを配信しています。
近年、新聞社は紙の新聞だけでなくインターネット上でもさまざまな形でニュースを発信しています。新聞社も通信社も、最新のニュースを迅速に届けるために努力を続けています。

Q13 国際ニュースの「ロイター=共同」「AFP=時事」って何のこと?

ロイター、AP、AFP、共同、時事というのは通信社のことで、その記事が通信社から送られてきたことを表しています。
新聞に載っている記事は、その新聞社の記者が取材して書いたものばかりではありません。よその県、外国での出来事は、多くの新聞社が通信社から送られた記事を使います。
通信社には新聞社と同じように記者がいて、取材して記事を書きますが、新聞は印刷していません。新聞社や放送局に記事や写真などを送ることを仕事にしている、いわばニュースの「問屋」さんです。イギリスのロイター、アメリカのAP、UPI、フランスのAFP、中国の新華社などが有名な国際通信社で、日本では共同、時事の2社が代表的です。
「ロイター=共同」とは、ロイター通信社が配信したニュースを共同通信社が翻訳(ほんやく)して配信したことを表しています。

Q14 新聞社は読者にどんなサービスをしているの?

新聞社は新聞を出す以外に、さまざまなイベントを行っています。例えば、「甲子園」で知られる高校野球大会がそうです。マラソン大会を行っている新聞社もあります。
このほか、美術展や写真展などの展覧会、音楽や書道などのコンクール、講演会、地元に密着した花火大会、盆踊り大会なども開いています。
新聞社によって、行うイベントは違います。入場料を取るものもあれば、無料のものもあります。新聞社は、こうしたイベントを通じて、日本のさまざまな文化の発展に役立ちたいと考えているのです。

Q15 新聞とテレビの違いは?

新聞は、紙面のどの位置に記事が載っているかで、新聞社がどのニュースを特に重要だと考えているかが分かります。一面トップには、その日一番大きく伝えたい記事が載っています。ただし、どのページから読むかは読者に委ねられています。一方で、テレビのニュースは、テレビ局が伝えたい順番にニュースを放送しているという違いもありますね。新聞には紙媒体ならではのいくつかの特徴があります。政治・経済からスポーツの結果までいろいろなニュースが一覧できること、手軽に持ち運びができること、資料として保存できること――などです。また、多くの新聞が社説を通じて意見や考えを伝えていることも特徴の一つです。

Q16 これからの新聞はどうなる?

当分の間、新聞と電子メディアは共存するものと思われます。紙かデジタルかにかかわらず、情報があふれる現代社会において、正確な情報を読者に届ける新聞の機能や、民主主義の基盤を支えるマスメディアとして新聞が果たす社会的役割は、今後も変わることはないでしょう。日本で1日に発行される新聞のほとんどが紙の形で読者の元へ届ける宅配(たくはい)という形をとっており、売り上げの多くを占めています。この戸別配達制度を続けながらデジタルでの情報発信を広げていくことが、新聞の将来にとって重要なことだと言えます。

Q17 新聞記者になるにはどうすればいいの?

新聞記者になるためには資格もいりませんし、そのために特別な勉強をする必要もありません。ただ、社会のいろいろなことを知ることが必要ですし、そのための一番の教材は、やはり新聞でしょう。新聞を毎日読む、これが何よりも大切です。
新聞には、考えるヒントがいっぱいつまっています。記事を読んで、「何が起きたのか」を探り、そして「なぜ起きたのか」を考えてみましょう。
ひとつのことから、いろいろな疑問がわいてくるはずです。お父さんやお母さんに聞いたり、先生に質問したり、図書室や図書館でも調べてみましょう。
多くの人の意見を聞いて、自分の考えをまとめていく、そういう学ぶ姿勢こそ、新聞記者になれる近道です。